chocolateのつぶやきすぎ日記

ほぼジェジュン溺愛日記 

夜の訪問者2

H駅のロータリーで彼の車に乗り込んだ
街中から離れて 夕闇の中 T峠の国道を少し登ると
国道脇の木立の中に
ログハウスのステーキレストランが ひっそりとあった
ディナータイムも過ぎ
ゆっくりと時間の流れる店内には
私たちの他には ふた組の男女が
テーブルのキャンドルに照らされて
至福の瞳で見つめ合っている
ジョンコルトレーンが流れる頃
店内は オーナーがブレンドしたコーヒーの香りに包まれる
クリスマスも近くなり、火が入れられたマントルピースのわきの
いつもの席に着き
二人の姿は半分シルエットになった
言葉はいらない
ゆっくりと二人だけの世界に もどるための儀式のように
コーヒーを飲む
「暖まった?行こうか?見せたいものがある」


峠の国道をさらに走ると 小路に入った
すっかり暗くなった木立のなかを ヘッドライトだけをたよりに進んだ
ぽつんとあった一軒家を過ぎると 
すっかり闇の中
すべてを忘れ、後ろの闇に捨てていける気がしてくる



「あっ」
運転席の彼の向こうの木立が突然切れ
そこには Hの街並みが広がった
車を降りると 頬に空気が冷たかった
その冷たい空気が街の灯りをちらちらと揺らしていた
視界に入りきれない夜景
街の灯りの中央を光の帯のようにT線が切り分けて行くのが見えた



一足早いクリスマスプレゼント
彼のコートの中に包まれて時間を忘れて見た夜景
いつまでも忘れられない



まだ ほんのり暖かいボンネットに広がった 彼のコートの上で
強く抱きしめられた
その肩越しから見た涙で滲む満天の星
この瞬間 全てを捨てた二人を 夜空が抱いた


この瞬間だけでもいいから